第四十二齣 駅備
第四十二出 駅の準備
【越調過曲・梨花児】〔副浄、駅丞を装して登場〕私は駅丞としてろくでもなく、供給が不足してよく打たれる。今日、お駕籠が来られるのは冗談ではない。嗏、もし間違いがあれば捕まえて殺される。
私は馬嵬駅の駅丞で、幼い頃から役所で働いてきた。雑職の頭目を経て、馬嵬の大きな駅に選ばれた。陸路の業務は忙しいが、手当てが厚いのが喜ばしい。決まった金を届ける時は、いくらか値引きして着服し、帳簿をつける時は、馬の数を水増しする。毎日、正規の俸禄を受け取るが、毎月、役所の経費を差し引かれる。怖いのは公差の吏員で、恐ろしいのは囚人や駅の下役だ。罪を免れようと、決まったやり方で賄賂を渡し、月々の金を催促する時は、あらゆる手で脅す。駅に人手が足りなくなると、いつも尻の穴がひっくり返るほど慌てふためく。今やさらに大きな出来事が目前に迫っている。太上皇がここに行宮を構えられるのだ。急いで様々な職人を呼び寄せ、駅舎の周りを整えさせる。また、貴妃娘娘の改葬のため、新たに墳墓を造営している。土工が玉体を見てしまうのを恐れ、別に四百人の女工を選ばなければならない。高公公が到着したと報せがあり、工事の完了を急がせている。もし少しでも遅れれば、〔紗帽を弾く仕草〕この首が一尺短くなりそうだ。〔末、駅卒を装して登場〕〔見える〕親分、私はもう職人たちを皆、揃えさせました。ご安心ください、ご心配には及びません。〔副浄〕女工はどうだ?〔末〕今、四百人の女工が、駅の門に揃っております。〔副浄〕すぐに呼び入れよ。〔末、呼ぶ〕女工たち、頭を下げよ。〔末〕起きて、点呼するぞ。〔副浄、点呼する〕周二母。〔浄、返事をする〕〔副浄〕呉姥姥。〔貼、返事をする〕〔副浄〕鄭胖姑。〔雑、返事をする〕〔副浄〕尤大姐。〔丑、口を押さえてか細い声で返事をする〕〔副浄、じろじろ見て〕おや、この女工は口を押さえて返事をする。どうも様子がおかしい。駅卒、私に見せてみろ。〔末、返事をして丑の手を引き離して見る〕親分、髭があります。〔副浄〕男か、女か?〔丑〕女です。〔副浄〕女の髭が、どうして口の上に生えるものか。私は信じない。駅卒、もう一度、股のところを探ってみろ。〔末、返事をして丑を探り、道化のやりとり〕親分、この髭は女工の偽物です。〔副浄〕あらまあ、大変だ。これは天子様がお使いになるための者だ。並大抵のことではない。私、親分が細かいから良かったものの、もし皇帝様にお見せしようものなら、危うくこの首を、お前の髭の生えた口で台無しにするところだった。良くもまあ、叩くぞ、叩くぞ。〔丑〕親分がここで急かすものですから、村で三百九十九人集めたところ、たった一人足りず、やむを得ず一時しのぎに紛れ込んだまでです。明日にはちゃんと替わりを連れて参ります。〔副浄〕まあ良い。早く追い出せ。〔末、返事をして丑を叩き出そうとする〕〔副浄、皆を見て笑う〕今や私、親分は疑い深くなった。どうやらお前たちも女ではないかもしれんな。〔皆、笑う〕我々は皆、女でございます。〔副浄〕口先だけでは証拠にならぬ。私、親分は手で皆をひと撫でしてみて、初めて信じるぞ。〔皆をまさぐろうとして、皆、逃げ回り笑う〕〔浄〕笑うのは親分の手が長いから、〔雑〕ちょうどブラシをひとつまみ。〔副浄〕手に白い魚の干物の香りがついた、〔貼〕それを部屋に持って行って酒の肴にしよう。〔道化のやりとり〕〔老旦、一方から登場〕錦の靴下を天子に献上しようと、やむを得ず鉄の鍬で女工の真似事をする。老身、王母。楊貴妃娘娘の錦の靴下を拾ってからというもの、通りかかった客が争って一目見ようとし、多くの金銭を稼いだ。今、旧い万歳様がお戻りになると聞き、一つには禁物を所蔵していることから禍いが起こるのを恐れ、二つにはこの錦の靴下を献上すれば、あるいは厚い褒美があるやも知れぬと考えた。折良く駅で女工を募集しているので、一人紛れ込もうと思い立った。埋葬が終わればすぐに献上できる。ここが駅の前だ。〔末、登場して見える〕この婆さん、どこから来た?〔老旦〕女工に志願に来たのだ。〔末〕待っていろ。〔中に入る〕親分、外に女工に志願して来た婆さんが一人おります。〔副浄〕呼び入れよ。〔末、出て老旦を呼び入れ、見える〕〔副浄〕お前が女工に志願した者か?〔老旦〕さよう。〔副浄〕見たところ、お前は年を取り過ぎている。仕事はできまい。ただ、今一人足りず、急いでいて他に人がいないから、お前で代わりをさせよう。名前は何という?〔老旦〕王母と申します。〔副浄〕良い、良い!丁度、周、呉、鄭、王の四人が揃った。お前たち四人で工事の頭を務めよ。それぞれ九十九人の女工を率いるのだ。駅に泊まって訓練し、お駕籠を待つが良い。〔皆〕承知しました。〔各々挨拶をし、道化のやりとり〕〔副浄〕お前たち、鍬や鋤を持て。私、親分が直に教えてみせよう。〔皆、返事をしてそれぞれ鍬や鋤を持ち、副浄、教える仕草をし、皆、それを真似る〕〔副浄〕
【亭前柳】鉄の鍬と鋤を手に取り、掘るのは作法に叶わねばならぬ。玉体を侵してはならぬ、注意して黄砂をかき分けよ〔合唱〕皆の者、訓練に習熟せよ、これは勅命を奉じたもの、決して間違いのないように。〔皆〕親分、我々は、
【前腔】田舎で桑や麻を作り、泥や砂を扱うのには慣れております。注意して力を合わせ、どうして疲れを訴えられましょうか〔合唱〕皆の者、訓練に習熟せよ、これは勅命を奉じたもの、決して間違いのないように。
〔副浄〕では、内へ入って夜通し訓練するぞ。〔皆、返事をする〕
玉顔虚しく馬嵬の塵に掩われ、〈(高駢)〉 雲雨は亡びても日月は新たなり。〈(鄭畋)〉
暁に平原に向かいて祭礼を陳べ、〈(方干)〉 共に鑾駕の重ねて巡り来たるを瞻る。〈(僧広宣)〉
