徳経
第六十九章
第 32 篇
兵法を用いる者に、次のような言葉がある。「我あえて進んで攻めず、むしろ守りをとることを願う。あえて一歩進まず、むしろ一尺退くことを願う。」これをいうならば、行進するときは列をなすことなく、腕を奮うときは腕を挙げることなく、敵と対するときは敵なしとし、兵器を執るときは兵器を持たぬがごとくである。禍いに、敵を軽んずることより大なるはなく、敵を軽んずれば、ほとんど我が三つの宝(慈、倹、敢えて天下の先とならず)を失う。ゆえに両軍相対して力の等しきとき、悲しみの心を持つ者が勝つことができる。
