
古文観止
《出師表》《桃花源記》など222篇の名文を収録。最も広く読まれた古典散文選集
『古文観止』は、清の康熙年間に呉楚材・呉調侯の叔父と甥が編纂した古代散文選集である。書名は「観止矣、余無以加矣」(これにて見終えたり、これ以上のものはない)という意味を込め、この書を読めば十分であり、他を読む必要はないとされる。全十二巻、222篇を収め、収録範囲は『左伝』から明代に及び、先秦諸子、史伝、唐宋八大家、明清の名篇を網羅し、最も広く流布した文語文選集の一つである。
選定基準は思想の純正さ、文筆の優美さ、朗読のしやすさに置かれ、名篇としては『曹劌論戦』『出師表』『桃花源記』『岳陽楼記』『酔翁亭記』『前赤壁賦』『捕蛇者説』などがあり、それらのほとんどは中国語教育における古典的教材である。編者は評点を通じて文章の構成や写作技巧を明らかにし、読者が朗読しながら古文章法を理解できるよう工夫している。
蒙学から近代の国語教育に至るまで重要な読本として、『古文観止』は『唐詩三百首』『千家詩』と並び称され、中国人の古文修養に深い影響を与えた。その選文は二千年にわたり、中国古代散文が史伝、論説、奏議から遊記、碑記、小品に至るまで、各ジャンルの変遷を示している。
この選集は原典の全集ではないが、中国古文の伝統に体系的に入るための最良の道筋である。本書を読むことで、222篇の名文を通じて中国古代散文の叙述、議論、抒情の伝統を把握し、漢語の書面語が持つ凝縮された力強さを味わうことができる。
