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五十五篇

揚権

第 8 篇

天には自然の根本法則があり、人にも自身の根本法則がある。あの甘くて香ばしい美味、濃い酒や脂っこい肉は口当たりは良いが体を害する。繊細な肌や白い歯は心を楽しませるが精気を損なう。故に過度を除き、極端を除けば、身に禍害はない。権謀は露わにしてはならず、朴を保ち、無為たれ。具体的事務は四方にあり、肝心な決定は中央にある。聖人は肝心なところを掌握すれば、四方は自然と力を用いるようになる。虚の態度で彼らに臨めば、彼らは自ずとその用を尽くす。四海の内の状況を既に掌握すれば、暗いところから明るいところを観察できる。左右の輔臣は既に設け、門を開いて事務に対処せよ。変えることなく、動かすことなく、「二」(君臣または陰陽を指す)と共に運行せよ。運行して止まざる、これを事理に従うという。

事物にはそれぞれ適した用途があり、人材にはそれぞれ発揮すべき場所があり、それぞれ適切な位置に在る故に、君主は無為にして治められる。雄鶏に時を告げさせ、猫に鼠を捕らえさせ、それぞれの能力を発揮させれば、君主には用事がなくなる。もし君主が自らの特技を恃めば、事はうまくいかない。君主が自ら誇り才を好めば、臣下に欺かれる。弁舌巧みで事を好めば、臣下はその弱点を利用する。君主と臣下が職責を交換すれば、国は治められなくなる。

「一」の方法を用いるには、名分を第一とせよ。名分正しければ事物は定まり、名分正しからざれば事物は変動する。故に聖人は「一」を執りて虚静を保ち、名分を自ら定めさせ、事物を自ら安定させる。自らの文彩を顕わさねば、臣下は朴を保ち正しくなる。才能に応じて任用し、自ら事を為させよ。事に従って導けば、自ら進んで引き受ける。公平に遇すれば、自ら安定する。君主は名分を用いて挙用する。もし名分を知らねば、再びその実際の在り様を調べよ。名分と実際とを互いに参験し、その生ずる結果に従って用いる。この両者が確かに信頼できれば、臣下は実情を貢ぐ。

慎んでその任せられた事務を治め、天道に聴き従え。肝心なところを失うなかれ、そうして聖人と成る。聖人の道は、知恵と技巧を棄てることにある。知恵と技巧を棄てねば、恒常の道と成り難い。百姓がこれを用いれば、身に災い多し。君主がこれを用いれば、国は危うく滅ぶ。天道に従い、事物の形理に返り、考察し参験し究め尽くし、終わりてまた始まる。虚静を後ろに保ち、未だかつて自らの主観を用いず。およそ君主の禍患は、必ず臣下の言葉に附和することにある。もし確かに信じて附和せねば、万民は一斉に従う。

道は、宏大にして形無し。徳は、事理を核とし遍く存在す。諸々の生あるものに対し、それらは斟酌して取り用い、万物は興るが、道と徳はそれらと共に安んじない。道は、下って普遍的に事物の中に在り、考察により使命を賦与し、時と共に生長し消滅す。名称と異なる事物とを参験し、それらの共通の情理を通ず。故に言う、道は万物と異なり、徳は陰陽と異なり、衡器は軽重と異なり、縄墨は出入りと異なり、和(調和)は乾湿と異なり、君主は群臣と異なると。この六つの場合、すべて道が派生せしめたものである。道に匹敵するものは無く、故に「一」と謂う。ゆえに明君は唯一無二の道の様を尊ぶ。君主と臣下は道を異にし、臣下は名分を用いて求める。君主は名分を掌握し、臣下は実際を貢ぐ。名分と実際とを互いに参験すれば、上下は調和し協調す。

およそ意見を聴く方法は、相手が発した言葉に基づき、それを反対に自ら受け入れる根拠とせよ。故に名分を審らかにして職位を定め、職分を明らかにして種類を分かつ。言葉を聴く方法は、酔ったように昏昏たるべし。唇よ、歯よ、我は先に口を開かず。歯よ、唇よ、ますます昏昏たる。彼ら自ら分析し、我はこれにより彼らを知る。是と非とは車の輻のように集まるも、君主はその中に参与せず。虚静無為は道の本質なり。参験し事物を照らすは事物の形態なり。事物を照らすをもって参験し、虚静に符合するをもって比べよ。根本の幹を変えねば、動作発泄に過ち無し。運動させ、流動させ、無為をもって攻め取れ。もし愛を示せば、多くの事端を生ず。もし憎しみを示せば、怨みを生ず。故に愛を去り、憎しみを去り、虚心を以て道の居所とせよ。君主は彼らと共に事を為さねば、百姓は彼を尊ぶ。君主は彼らと共に是非を論ぜず、彼ら独自に為させよ。君主は内なる門戸を固く閉ざし、室内より庭を観れば、咫尺の間にも全て備わり、それぞれの位に在る。賞すべきは賞し、罰すべきは罰し、その為す所に従い、各々自身により成就す。善悪必ず応報あり、誰か誠実ならざらんや?規矩既に設けられれば、他の方面は自然と秩序立つ。

君主もし神妙ならざれば、臣下は依拠するところ有り。もし事の処理を誤れば、臣下は常規を考察す。天の如く地の如く、これを平正と謂う。地の如く天の如く、誰が親しみ誰が疎し?天地に法る能わば、これを聖人と謂う。内部を治めんと欲すれば、安置すれども親しまず。外部を治めんと欲すれば、各官職に一人を置く。彼らを放縦恣意ならしめず、どうして互いに兼并することがあろう。大臣の門下は、ただ人の多きを恐る。凡そ治の最高の境地は、臣下に窺い知る能わず。刑名に全面的に合えば、百姓は職を守る。これを離れて他を求むれば、これを大惑と謂う。奸猾なる百姓はますます増え、奸邪なる者は身辺に満つ。故に言う、人を富ませて後から貸し与えるなかれ、人を貴からしめて後から逼迫するなかれ、一人を専ら信じて都と国とを失うなかれ。脛が腿より太ければ、速く走り難し。君主が神妙を失えば、猛虎が後に従う。君主もし知らねば、猛虎は狗に偽装す。君主が早く制止せねば、狗はますます止むこと無し。虎が徒党を組めば、君主を弑す(母)。君主として臣下無ければ、何の国かあらん。君主がその法令を行えば、大虎は懼れる。君主がその刑罰を行えば、大虎は自ずと安んず。法令刑罰もし確かに行われれば、虎は人に戻り、その本来の姿を回復す。

国を治めんと欲すれば、必ず私党を除くべし。私党を除かねば、彼らは徒衆を集める。国土を治めんと欲すれば、必ず賞与を適切に施すべし。賞与を適切に施さねば、乱を為す者はますます求める。彼らが求めれば我は与う、これは仇に斧を貸すに等しい。貸すは許さず、彼らはその斧をもって我を伐つであろう。黄帝が言った、「君主と臣下は一日の内に百回の争いをする」と。臣下は私心を隠し、君主を試すに用いる。君主は度量基準を掌握し、臣下を裁断するに用いる。故に度量基準の設立は、君主の宝である。党羽の形成は、臣下の宝である。臣下が君主を弑さざる所以は、党羽が未だ備わらざるが故なり。故に君主が一分を失えば、臣下は一尺一寸を得る。国を有つ君主は、その都を大きくせず。道有る臣は、その家を貴からしめず。道有る君主は、その臣を貴からしめず。もし彼らを貴からしめ富ましめば、彼らは君主に代わらん。危険を防ぎ禍患を懼れよ、速やかに太子を立てよ、そうすれば禍患は生ずる処無し。内を捜索し外を防御し、必ず自ら度量基準を掌握せよ。厚き者はそれを減じ、薄き者はそれを増補せよ。減ずると増補とに基準有らしめ、百姓をして互いに結託し、共に君主を欺かしむるなかれ。減ずるは月の盈虧の如く、増補するは熱を加えるが如くせよ。法令を簡素にし誅罰を慎重にし、必ず刑罰を徹底して行え。

弓の弦を弛めてはならぬ。一つの巣に二羽の雄鳥は在らず。一つの巣に二羽の雄鳥あれば、彼らは争い止まず。豺狼が羊の囲いに在れば、羊は盛んにならず。一家に二人の尊き者あれば、事は成らず。夫妻が共に政を執れば、子は従う所を知らず。

君たる者は、たびたび木を剪定せよ。枝を繁茂させるな。枝が繁茂すれば、公門を塞ぎ、私門は充実し、公庭は空虚となり、君は塞がれて囲まれることとなる。たびたび木を剪定し、枝を外へ伸ばすな。枝が外へ伸びれば、君の居処に迫ることとなる。たびたび木を剪定し、枝を太くして幹を細くするな。枝が太くて幹が細ければ、春風に耐えられず、春風に耐えられねば、枝は樹心を傷つける。公子がすでに多ければ、宗室は憂い嘆く。これを止める方法は、たびたび木を剪定し、枝を茂らせるな、ということである。木をたびたび剪定すれば、党羽は離散する。その根元を掘り除き、木をして神妙ならしめるな。荒れ狂う淵を埋め、水をして清らかにするな。その胸中を探り、その威勢を奪え。君がこれらの手段を用いるには、電光や雷鳴のように迅速であれ。