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孟子

孟子

四書の一つ · 性善説の代表作

『孟子』は、戦国時代中期の思想家である孟軻(孟子)とその弟子たちが言行を記録した書物であり、儒家の重要な経典である。『論語』と並んで「孔孟」と称される。孟子は孔子の思想を継承・発展させ、「性善説」「仁政」「民貴君軽」などの主張で知られ、後世に「亜聖」と尊称され、中国の政治哲学と道徳的理想に深遠な影響を与えた。

全七篇十四巻で、対話形式で展開され、文章は雄弁で迫力に満ち、比喩や論理の推論を巧みに用いる。『梁恵王』『公孫丑』『告子』『尽心』などの名篇では、「四端の心」「浩然の気」「捨生取義」などの思想を説き、君主は仁政を行い民と共に楽しむべきであると強調し、「民は貴く、社稷はこれに次ぎ、君は軽し」という政治倫理を打ち出し、中国思想史において画期的な意義を持つ。

孟子は告子、楊朱、墨子など当時の諸学派と激しく論争し、その「王道」と「霸道」の区別、義利の弁別の強調は、儒家が現実政治に向き合う道徳的な高みを形作った。宋代の朱熹は『孟子』を「四書」に加え、『孟子集註』を著し、士人必読の経典とした。

『孟子』の言語は道徳的な情熱と人格の力に満ちており、「富貴も淫すること能わず、貧賤も移すこと能わず、威武も屈すること能わず」「憂患に生き、安楽に死す」などの名句は、多くの読者を奮い立たせてきた。本書を読むことで、儒家の心学と政治的理想の源を深く理解し、中国文化における剛健で進取的な精神気質を感じ取ることができる。