第三十九齣 如杭
第39齣 如杭
【唐多令】(柳夢梅登場)海上の明月、未だ塵に埋もれず。(杜麗娘登場)新たな化粧、既に鏡台に向かいて整えたり。(柳夢梅)銭塘江の風色を巻き上げ、書斎の静けさを破る。(杜麗娘)夫よ、昨夜の天の香雲の外、桂の子が月より吹き落ちて咲き誇るが如し。(柳夢梅)「夫婦、他郷に客居して愁い解け難し。(杜麗娘)壺を提げて酒を買い、一杯を求めん。(柳夢梅)江上の怒潮、千丈の白雪の如く。(杜麗娘)禹門の平地に一声の驚雷の如し。」(柳夢梅)我、汝と夫婦相従い、臨安の都の地に至れり。一間の空き家を借りて、書史を研鑽し得たり。されど試験の日はなお遠く、客居の愁い却って深まりゆく。如何にすべきか。(杜麗娘)朝に姑姑に命じ、酒一壺を買い求め、しばし夫君の煩いを解かんとす。未だ彼女の帰りを見ず。(柳夢梅)娘子に労をかける。これまで一度も問わずにいたが、初めはただ汝を西隣の女子と言いしが、誰か幽冥を感じ、匆匆として夫婦となりし。道を来りて、今に至るまで未だ教えを請わず。小姐は道院の西にて我を見たるや。何故に詩句に「梅の辺に非ずして柳の辺」とあり、我が姓名を指し示せるや。この霊通、何の故ぞ。(杜麗娘笑いながら言う)柳郎、我が道院の西にて汝を見たるは偽りなり。我、前世に於いてなり。
【江兒水】偶然汝と後花園にて夢を見たり。汝、一枝の柳の枝を捧げ、我に詩篇を比べるを求めたり。我、まさに題詠の間に、汝と牡丹亭に至れり。(柳夢梅笑いながら言う)良かりしか。(杜麗娘笑いながら言う)ああ、良き中に、落花我を驚かせて醒ましぬ。その後、神情定まらず、一病奄奄たり。これ、聰明、聰明に累され、真誠、真誠を得ず、冤家、この冤家の債を結べるなり。一点の色情、毀ち難し。再び人と生まれ、話は両頭に分かれて成る。
【前腔】(柳夢梅)汝の言を聞きて呆然たり。ただ我、情痴にして人の在るを信ず。なお恐る、邪淫、陰曹の怪を動かし、亡墳を忌みて陽戒に触れんことを。分書の書生、陰間の人の愛を受け、汝の色身を壊さざるを引き寄せたり。土より出でて人となり、またこの帝城の風采を見る。(浄角、酒を提げて登場)「路、丹鳳城中より過ぎ、酒、金魚館内にて沽う。」やあ、相公、小姐知らずや。我、江頭にて酒を買い、諸処の秀才みな試験場に向かうを見たり。相公、天の大いなる好機を失せり。(柳夢梅、杜麗娘、忙然と慌てる)(杜麗娘)相公、ただ急ぎ行かれよ。(浄角)この酒、すなわち状元紅なり。
【小措大】(杜麗娘、酒を捧げて)喜ばしき一夜の恩愛、功名の二字に驚かされて開かれたり。好く開懐せよ、この御酒三杯、四の婵娟を置きて人月団円す。朝馬に立ちて五更の門外、六街に喧伝する人の気概を聞く。七歩の才、寒宮の八宝の台に登る。九重の春色に酔い、十里の花を見て帰らん。
【前腔】(柳夢梅)十年の窓下、梅花の凍り九たび開くを遇う。夫貴く妻栄ゆる、八字の安排。敢えて汝、七香車に穩坐し、六宮の宣召、汝に朝拝あり。五花の誥、汝を封ずるも分に非ず。四徳を論じ、汝の三従の結願、和諧す。二指の大なる泥金の報喜。一輪の皂蓋、打ちて飛来す。(杜麗娘)夫よ、我、春容の詩句を憶えたり。
【尾声】今朝を盼み、汝この蟾宮の客に傍わんとす。汝と我、倍に精神を奮いて金階にて对策せん。高中せば、同じく汝の丈人、丈母を訪ねん。すなわち、我が地窟より登仙して大喝采を得たりと言わん。
(杜麗娘)良人の奇才まことに有り、劉氏(浄角)佳期を失うを恐れ、後に命催す。杜甫(柳夢梅)紅粉の楼中、日を計るべし、杜審言(合)遥かに笑語の天より来るを聞く。李端
