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傷寒雑病論

弁瘀血吐衄下血瘡癰病脈証並治

第 27 篇

瘀血、吐血、衄血、下血、瘡癰の病の脈証並びに治療を辨ずる

病人、胸滿し、口唇枯れ、舌青く、口乾燥して、ただ水を含んで口を漱ぎたがるも、呑み下すことを欲せず、悪寒発熱の症なく、脈微大にして来る遅く、腹脹満せざるに、病人自ら脹満を感じるというは、是れ瘀血有り。

病人、発熱の状有るが如く、心煩し胸悶し、口乾舌燥して渇すれども、其の脈反って熱象無きは、是れ陰分に伏熱有るもの、瘀血証に属す。当に瘀血を攻下すべし、下瘀血湯を用いるに宜し。

下瘀血湯方

大黄三两 桃仁二十枚 蟅虫二十枚(足を去る)

上三味、末と為し、煉蜜を以て和して丸と為し、酒一升、水一升にて、煮て八合を取り、一服にて尽くせば、瘀血は猪肝の如く下りて、病愈ゆ。

胸膈の間に瘀血停留し、吐血の色黒き者には、桔梗湯を以て主とす。

桔梗湯方

上二味、水三升にて、煮て一升を取り、滓を去り、温めて服し、再服に分つ。

(脈来て緩やかにして、時に一止し、復た来るを結脈と為す。脈来て疾く、時に一止し、復た来るを促脈と為す。脈陽盛なれば則ち促、陰盛なれば則ち結、是れ皆病脈なり。

又、脈動の中に止まり、復た来ること稍疾く、中に回縮の動有るを結陰脈と為す;脈動の中に止まり、自ら復する能わず、因りて再び動くを代陰脈と為す;此の脈を得る者は、必ず治し難し。

脈寸関尺三部皆促なるは、血証有るに当り、実証に属す;三部皆結なるは、失血に当り、虚証に属す;仮に促脈寸口以上の部位に現るれば、当に吐血し、或いは衄血すべし;促脈尺の部位に現るれば、当に下血すべし;脈時に促し時に結するは、治し難し。〈平脈法第二〉)

吐血止まらざる者は、柏葉湯を以て主とす;黄土湯も亦以て主とす可し。

柏葉湯方

柏葉三两 乾姜三两 艾葉三把

上三味、水五升に、馬通汁一升を加え、合せて煮て一升を取り、滓を去り、分けて温服す。

黄土湯方

灶中黄土半斤 甘草三两 地黄三两 白术三两 附子三两(炮) 阿胶三两 黄芩三两

上七味、水八升にて、煮て三升を取り、滓を去り、分けて三服す。

心気不足して、吐血、或いは衄血する者には、瀉心湯を以て主とす。

瀉心湯方

上二味、水三升にて、煮て一升を取り、滓を去り、一服にて尽くす。

下血、先ず便して後に血出づるは、是れ遠血、黄土湯を以て主とす。(方前見)

下血、先ず血出でて後に便するは、是れ近血、赤豆当帰散を以て主とす。

赤豆当帰散方

赤小豆三升(浸して芽を生ぜしめ、晒す) 当帰十两

上二味、散と為し、漿水を以て調えて一方寸匕を服し、日三服す。

師曰く:病人の面色沢無く、悪寒発熱の症無く、脈沈にして弦なる者は、必ず衄血す;脈浮にして弱く、重ねて按ずれば則ち得らるる無き者は、必ず下血す;心煩して咳する者は、必ず吐血す。春より夏に衄血するは太陽経に属す;秋より冬に衄血するは陽明経に属す。尺脈浮き、目暈黄なるは、衄血未だ止まらず;若し黄退き、目精明なるは、衄血已に止むを知る。

問うて曰く:寸口脈微浮にして澀、理に従えば当に失血、或いは汗出すべし、仮に汗出ださざるは何ぞや?師曰く:若し身に瘡有るは、刀斧に傷られし所、是れ失血の故なり、此れを金瘡と名づく;膿無き者は、王不留行散を以て主とす;膿有る者は、排膿散を以て主とす、排膿湯も亦以て主とす可し。

王不留行十分(焼く) 蒴藿細葉十分(焼く) 桑根白皮十分(焼く) 甘草十八分 黄芩二分 蜀椒三分(目を去る) 厚朴二分 乾姜二分 芍薬二分

上九味、散と為し、水を以て一方寸匕を送り服す、小瘡は直ちに粉を瘡に撒き、大瘡は内服のみ、産後も亦服す可し。

排膿散方

枳実十六枚 芍薬六分 桔梗二分

上三味、散と為し、鶏子黄一個を取り、薬散と鶏子黄と等量に、揉み和らげ、沸湯を以て調えて服し、日一服す。

排膿湯方

甘草二两 桔梗三两 生姜一两 大棗十枚

上四味、水三升にて、煮て一升を取り、滓を去り、温めて五合を服し、日二服す。

浸淫瘡、口より四肢に蔓延する者は、治す可し;四肢より口に来る者は、治す可からず。

浸淫瘡、黄連粉を以て主とす。

黄連粉方

黄連十分 甘草十分

上二味、末と為し、水を以て一方寸匕を送り服し、併せて粉を瘡に撒く。

諸脈浮数の者は、理に従えば当に発熱すべし、而るに病人反って悪寒畏寒す、若し身に疼痛の所有らば、当に癰腫を生ずべし。

師曰く:諸癰腫、膿有りや無きやを知らんと欲す?手を以て腫上に掩うに、熱を感じる者は、膿有り;熱を感じざる者は、膿無し。

腸癰の病、病人の身肌膚粗糙にして魚鱗の如く、腹部皮膚緊急にして、手を以て按ずれば却って柔らかく、腫脹の状の如く、腹に積塊無く、身に発熱無く、脈数なるは、是れ腸内に癰腫を生ず、薏苡附子敗醤散を以て主とす。

薏苡附子敗醤散方

薏苡十分 附子二分 敗醤五分

上三味、末と為し、一方寸匕を取り、水二升にて、煮て半量を取り、滓を去り、一服にて尽くせば、小便中に当に瘀血を出すべし。

小腹部脹堅し、按ずれば則ち痛み、淋病の如く感じるも、小便却って正常、時に発熱し、自ら汗出で、又悪寒す、是れ腸内に癰腫を生ず;若し脈沈緊なるは、膿未だ成らず、攻下すれば当に瘀血を出すべし;脈洪数の者は、膿已に成る、攻下す可し、大黄牡丹湯を以て主とす。

大黄牡丹湯方

大黄四两 牡丹一两 桃仁五十個 冬瓜子半升 芒硝三合

上五味、水六升にて、煮て一升を取り、滓を去り、一服にて尽くせば、膿有る者は膿を出し、膿無き者は瘀血を出す。