第十九出 和戦
第十九齣 和戦
(末・浄・丑、黄得功・劉良佐・劉沢清を扮し、軍装を身に纏い、雑角は军校を扮し、旗や武器を掲げて喊声を上げながら登場する)(末)兄弟たち、皆気をつけろ。高杰が既に兵を揃え、黄金坝で待ち構えていると聞く。我々は三隊に分かれ、順に進むのだ。(浄)我が率いる兵は元より少ない。まず我が先陣を切って挑み、二人の兄が後に続いて迎え撃てば良い。(末)我が田雄はまだ来ていない。我は第二隊とし、河洲兄に殿を頼もう。(丑)それで良い。皆、前に向かって進め。(旗を揺らし喊声を上げ、慌てて退場する)(副浄、高杰を扮し、軍装を身に纏い、军校が武器を持って従い登場する)大小三軍、陣を敷け。敵を迎え撃つ準備をせよ。(雑角、探卒を扮し登場する)報告、報告、報告!三家の賊兵が旗を揺らし喊声を上げ、陣営に近づいております。(浄、大刀を持って登場する)老高、早く出て来い。今日こそお前と雌雄を決するぞ。(副浄、槍を持って罵りながら登場する)この花馬劉め、俺の小兄弟だ。誰がお前を恐れるものか!(内場で太鼓が鳴り、浄と副浄が戦う)(副浄叫ぶ)三軍、一斉に掛かれ。この劉の賊を生け捕れ。(雑角登場し乱戦)(浄敗れて退場)(末、双鞭を持って登場する)我が黄闖子の腕前は知っているだろう。早く頭を下げれば、命だけは助けてやろう。(副浄)我が高老爺は、そのような生きた頭など欲しくはない。お前の死んだ首を取ってやる。(内場で太鼓が鳴り、末と副浄が戦う)(副浄叫ぶ)三軍、再び掛かれ。(雑角登場し乱戦)(末焦る)元来、将は将と、兵は兵と戦うものだ。どうしてこのような乱戦をするのか。結局は無礼な賊め。今日はひとまずお前に負けよう。(敗れて退場)(丑、双刀を持って大勢を率い、喊声を上げながら登場する)高杰、強がるな。我が劉河洲もいくばくかの兵を連れている。乱戦と行こうではないか。(副浄)我が翻天鹞子は誰も恐れぬ。縦に戦おうと横に戦おうと構わぬ。殺せ、殺せ、殺せ!(両隊大勢を率いて乱戦)(生、令箭を持って高台に立ち、小兵が鑼を打ち鳴らす)(皆戦いを止め、仰ぎ見る)(生、令箭を揺らす)閣部大元帥の命により、四鎮の造反は、すべて督師の過ちである。先ず帥府に赴き、元帥を殺し、その後南京に至り、皇宮を奪え。ここで乱戦し、平民を擾乱し危害を加えることなかれ。(丑)我々は造反などしていない。ただ高杰が無礼にも座次を乱したため、これを明らかにし、後日元帥に拝謁し参上するためである。(副浄)我が高杰は本標の先锋である。どうして造反などするものか。彼らが兵を率いて殺しに来たので、やむを得ず迎え撃ったまでだ。(生)軍令に従わず、勝手に戦うのは、皆反賊だ。明日朝廷に奏上し、お前たち自身で弁明するが良い。(丑)朝廷は我々が迎え立てたもの、元帥は朝廷が遣わしたものだ。我々が軍令に背くは、朝廷に背くことと変わらぬ。どうしてこのようなことができようか。喜んで手を縛り罪に服す。ただ元帥の寛恕を乞うのみだ。(生)高将軍、お前はどう言う?(副浄)我が高杰は元帥の犬馬に過ぎぬ。軍法を犯した以上、ただ元帥の処分に従うのみだ。(生)そう言うならば、早速黄・劉二鎮に伝令せよ。共に轅門に参り、元帥に嘆願せよ。(丑)二鎮は戦いに敗れ逃げ去り、それぞれの防地に帰ってしまいました。(生)お前たち淮・揚二鎮は、唇歯の関係にある。古い遺恨もないのに、どうして他人の指図に従うのか。早く行き、元帥の沙汰を待て。(衆兵退場)(生、高台を下りる)(丑と副浄、共に進み、到着する)(生)既に轅門に着いた。両将軍は外で待たれよ。我が伝えて報告しよう。(少しして出て来る)元帥の命により、四鎮が勝手に互いに争うは、皆軍法に処すべきところなり。但し高将軍は礼儀体統を知らず、隙を生じ事端を起こした。罪の帰する所あり。三鎮に謝罪するよう命ず。和解の時、改めて処分する。
【香柳娘】将軍よ自ら思え、将軍よ自ら思え、禍来れば救い難し。荆を背負い早く轅門に叩頭せよ。(副浄怒る)我が高杰は元帥標下の先锋。元帥は庇護もせず、かえって三鎮に謝罪せよとは、恥ずかしくて死ぬる思いだ。罷、罷、罷!元とても我を容れられぬと見える。兵を率いて江を渡り、新たに事業を興すより他はない。この屈辱、如何にして耐えん、この屈辱、如何にして耐えん。大江の頭を渡り、事業新たに起こさん。(叫ぶ)三軍早く来たれ、我に従いて行かん。(衆兵登場し、喊声を上げ旗を揺らし従い退場する)(丑見送る)や、や、や!高杰、遂に江を渡ろうとしている。江南に同党がいるに違いない。やがて連れ立ち、我々と騒ぎを起こしに来よう。我も早く黄・劉二鎮と約し、多勢の兵を連れ、ここで迎え撃たねば。笑うべきかな、彼力尽きて遠く逃げ、笑うべきかな、彼力尽きて遠く逃げ、長江にて恥を洗い、再び寇となるに備えん。
(丑退場)(生呆然)事態かくの如くなるとは、如何にして収拾すべきか。
【前腔】恨むらくは山河半ば傾き、恨むらくは山河半ば傾き、如何にして再び築かん。人心瓦解し恩義旧情を忘る。(南を望む)かの高杰、遂に反いたり。見よ、気勢盛んに江を渡るを、見よ、気勢盛んに江を渡るを、旗旛乱れて江中に、直ちに南徐の口に入らん。(北を望む)かの劉沢清も急ぎ去り、三鎮の兵を約し、共に迎え撃たんとす。この戦乱、偏に起こり、この戦乱、偏に起こり、まことに我が元帥頭を掻き、参謀手を揉ましむ。
(歩き回る)ひとまず閣部に復命し、改めて計らうとしよう。正に、
堂々たる開府、通侯を管轄し、
江北淮南、上遊と数えらる。
只恐るらくは楼船と鉄馬、
一時に皆好む、好揚州を。
