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第四本 草橋店夢鶯鶯

第四本 草橋店夢鶯鶯 第四折

第 21 篇

第四本 草橋店夢鶯々・第四折

【張生、琴童を連れ馬に乗り登場、開場の白】蒲東を離れて既に三十里、前方は草橋である。店に一泊し、明日早朝に出発しよう。この馬、どうしても進もうとしない。旅の装い慌ただしく、一鞭で馬を催して去る。旅愁万斛、新たな詩を引き起こす。【双調】【新水令】蒲東の蕭寺を望めば暮雲に遮られ、凄惨なる離情は半林の黄葉に伴う。馬の歩み遅く人の意も懶く、風急にして雁行斜めに飛ぶ。恨みは重なり畳み、初めての夜が最も堪え難い。昨日の楽しみを思えば、今日のこの凄涼を知るよしもない。【歩歩嬌】昨夜は翠被に香濃く蘭麝を薫じ、珊瑚の枕に倚りかかりて身を斜めにしていた。頬を寄せ合い、仔細に眺めれば、愛らしさ限りなし。広げた雲鬓に玉梳斜めに挿し、恰も半ば吐き出した初月のよう。早くも着いた。店の者はいるか。【店小二登場して云う】旦那様、こちらの上等なお部屋にお泊まりください。【張生云う】琴童、馬を預かれ。灯を点せ。何も食べたくない、ただ少し眠りたいだけだ。【琴童云う】私も疲れました、休みたいと思います。【床前に寝床を整え、寝たふりをする】【張生云う】今夜、どうして私の目に眠りが入るだろうか。【落梅風】旅館に孤枕を斜めに倚り、秋虫は四野に鳴き叫ぶ。人の愁いを助くるは紙窓の風に裂かれるるなり。やっと独り寝の蒲団は薄く冷たく、冷清清として幾時か温まり得ん。【張生、寝たふり】【鶯々登場して云う】長亭の辺りで張生を見送ったが、どうしても気にかかる。お母上様と梅香は皆寝てしまった。私はこっそりと城を抜け出し、追いかけて彼と一緒に行こう。【喬木查】荒れ果てた郊野を歩む、心の内の嬌怯を抑えきれず、喘ぎ荒げて二息も続けて息継ぎできぬ。急いで追いかける、草を打ち蛇を驚かす。【攪筝琶】彼は我が心腸を引き止めた、故に路の遠きを避けず。あの取り締まることのできるお上様を欺き、あの整った侍妾を落ち着かせた。彼が馬に上る時、心を痛めて悲しみ嘆き、泣くこと我も痴れたるが如し。我が心の正しからざるにあらず。別れし後、西日が斜めに傾くに及び、愁いは来ること陡峻に、痩せ方は来ること甚だし。僅か半日離れたのみにて、既に翠の裙を三四褶も広く掩い過ごす。誰がかかる折磨を受けたるか。【錦上花】限りある姻縁、ようやく定まりしに、やむなき功名、人をして別れしむ。尽きせぬ愁いの懷、ようやく少し良くなりしに、放ち難き思い、今また来たる。清霜は碧波を洗い、白露は黄葉を落とす。高き低き、道は曲折し、四野の風来たり左右に乱れ吹く。我ここに奔馳す、彼は何処に困歇す。【清江引】呆愣愣と店房に言うこと無く、悶々として年夜に對す。暮雨は寒虫を催し、暁風は残月を吹く、今夜酒醒めて何処に在る。【鶯々云う】この店の中にある、やむなく門を敲こう。【張生云う】誰が門を敲くのか?女の声だ。私はとにかく開けて見よう。この時分に誰か。【慶宣和】人ならば早く言い明かせ、鬼ならば早く滅びよ。【鶯々云う】私よ。お母上様は寝た。あなたを想って行ったのだ。いつ再び会えるか、わざわざ来てあなたと一緒に行こう。【張生、唱う】聞き終えて香羅の袖を引き止む、却って姉さん、姉さん。難有き小姐の心遣い。【喬牌児】君は人を為すならば最後まで為せ、衣袂を惜しまず。繍鞋は露の水に泥みて濡れ、足の心は踏み破らるるを恐る。【鶯々云う】私はあなたの為に、路の遠きを顧みず。【鶯々、小声で話す】【甜水令】あなたが寝食を忘れ、香消え玉やせ、花咲き花散るを思い、自分でもまだ足りぬと思う。たとえ枕冷たく衾寒く、鳳只にして鸞孤なり、月円くして雲遮るとも、何を以て傷嘆すべきか。【折桂令】人生最も苦しきは別れなり!哀れなるかな千里の関山、独り跋渉す。かくの如き牽腸掛肚、寧ろ恩断義絶に如かず。一時の花残り月欠くるも、瓶墜ち簪折るるとは猜るなかれ。豪傑を恋せず、驕奢を羨まず、生きて同じ衾を蓋い、死して同じ穴に葬らん。【外浄一人、卒子を連れ登場して叫び云う】先程一人の女が河を渡るのを見た、何処へ行ったか分からぬ、火を灯せ!はっきりと彼女がこの店に入るのを見たぞ。出せ!出せ!【張生云う】どうすれば良い?【鶯々云う】あなたは後ろに下がっていて、私が自ら門を開けて言おう。【水仙子】固く普救寺を囲みて鍬鐝を下ろし、強く咽喉を遮りて劍戟を仗つ。賊心腸は眼腦に饞り、生まれつき劣悪なり。【卒子云う】お前は何家の女だ、深夜に河を渡るとは?【鶯々、唱う】言うな、後に下がれ!杜将軍は彼が英傑なるを知る、汝をして醋醤と為すを肯んずるか、指さば一たび汝をして膿血と化せしめん——白馬に騎って来たりし。【卒子、鶯々を奪い取り退場】【張生、驚き醒めて云う】やあ、実は夢であった。とりあえず門を押し開けて見れば、満天の露気、満地の霜華、暁星初めて上り、残月なお明らかなり。無端の喜鵲、高枝に在り、一枕の鴛鴦、夢成り難し。【雁児落】緑依依として牆高く柳半ばに遮り、静悄悄として門は清秋の夜を掩う、疎剌剌として林梢の落葉に風あり、昏惨惨として雲際の窓を穿つ月。【得勝令】我を驚かせしは顫巍巍たる竹影の龍蛇を走らす、虚飄飄たる庄周の夢に蝴蝶、絮叨叨たる促織の休み歇まず、韻悠悠たる砧声の断絶せず。痛煞煞として傷別を離れ、急剪剪として好夢を応に捨て難し;冷清き嘆き、嬌滴滴たる玉人、何処に在る。【琴童云う】夜が明けました。もう少し早く進み、前方で食事をとりましょう。【張生云う】店の者、部屋代を返す。馬を用意せよ。【鴛鴦煞】柳絲の長さ咫尺に情牽惹き、水声の幽かは人を嗚咽するに彷彿たり。斜月残灯、半ば明るく半ば滅びず。唱うは旧恨連綿、新愁鬱結;恨は離愁に塞がり、肺腑に満ちて淘泄し難し。紙筆を以て喉舌に代えざれば、千種の相思、誰にか説くべき。【一緒に退場】【絡絲娘煞尾】都だ、一官半職の為に、阻隔せられて千山万水。

題目 小紅娘 好事を成す 老夫人 由情を問う

正名 短長亭 別酒を斟る 草橋店 夢に鶯々

上一本 回目録 下一本

第五本 張君瑞 慶んで団円す