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西遊記

第七十五回 心猿鑽透陰陽竅 魔主還帰大道真

第 75 篇

第七十五回 心猿鑽透陰陽竅 魔主還歸大道真

さて、孫大聖は洞口に入り、両側を見渡した。見れば、

髑髏は山と積まれ、骸骨は林のよう。人の髪の毛は敷物となり、人の皮肉は腐って泥や塵と化す。人の筋は木に絡まり、乾いて焦げ、銀のように輝く。まさに屍は山を成し、血は海を為し、実に腥く臭くて耐え難い。東の小妖は生きた人間を引きずり出して肉を切り、西の泼魔は人肉を生煮えにし、生焼きにする。もし美猴王のような英雄の胆力がなければ、二番目の凡人がその門をくぐることなどできはしない。

しばらくして、二層目の門に入り中を見れば、ああ!ここは外とは全く異なる。清らかで静か、幽玄で雅やか、麗しく広々と平らかである。左右には瑶草や仙花があり、前後には高く大きな松や翠の竹が茂る。また七八里ほど進んで、ようやく三層目の門に至る。身をひそめて、こっそりと中を窺うと、上には三人の老妖が高く座し、極めて凶悪で狰狞としている。真ん中の者は、

凿牙锯齿、丸頭方顔。吼え声は雷の如く、眼光は電の如し。仰向けの鼻は天を指し、紅い眉は炎を漂わす。動けば百獣心慌て、座すれば群魔胆を戦わせる。これぞ獣の中の王、青毛獅子怪。

左手の者は、

鳳目の金睛、黄牙に太腿。長い鼻に銀の毛、頭は尾のよう。丸い額に眉をひそめ、体躯は磊磊。細い声は美しい佳人に似て、玉のような面は牛頭の悪鬼に同じ。これは牙を隠し身を修めて多年の黄牙老象。

右手の者は、

金翅の鲲頭、星睛の豹眼。北方を震わせ南方を図り、剛強で勇敢。変化して翱翔の態を生じ、鷃雀は嘲り龍もまた惨たる。風を巻き翼を広げれば百鳥頭を隠し、爪を伸ばせば諸禽胆を喪う。これは雲程九万里の大鵬雕。

その両側には百十の大小の頭目が並び、皆全副武装して鎧を着け、鎧は整い、威風凛々、殺気満々である。

行者の見るところ、心中喜び、少しも恐れず、大股にまっすぐ門に入り、梆鈴を外し、上に向かって「大王」と呼んだ。三人の老魔は呵呵と笑いながら尋ねた。「小鑽風、来たか。」行者は声を返して「来ました。」「お前、山を巡り、孫行者の行方を探ってどうなった?」行者は言う。「大王の御前ですが、私には申し上げられません。」老魔が言う。「どうして申し上げられないのか?」行者は言う。「私は大王の命を受け、梆鈴を敲きながら歩いておりましたところ、ふと顔を上げると、一人の者がそこに蹲って、棍棒を研いでおりました。まるで開路神のようで、もし立ち上がれば、十数丈もの長さになるでしょう。彼はその澗の崖石の上で、水を一掬いしては磨き、口の中でまた何か唱え、その棍棒はここに来てまだ神通を現していない、磨いてから大王を打ちに来ると言っておりました。私はそれで彼が孫行者だと知り、特に報告に参ったのです。」

その老魔、この言葉を聞いて、全身汗まみれ、戦戦兢兢として言うには、「兄弟、私は言っただろう、唐僧に手を出すなと。彼の弟子は神通広大で、事前に準備を整え、棍棒を研いで我々を打とうとしている、どうすれば良いのか?」と呼びかける。「小どもたち、洞の外の大小の妖怪を皆呼び寄せよ、門を閉じて、彼を通り過ごさせよう。」頭目の中に知っている者が報告する。「大王、門外の小妖は既に皆散ってしまいました。」老魔が言う。「どうして皆散ったのか?恐らく悪い風評を聞いたのだろう。早く門を閉じよ、早く門を閉じよ。」衆妖はぴんぴんぱんぱんと前後の門をすべてしっかりと閉め、閂をかけた。

行者は心中自ら驚いて言う。「門を閉じられたら、彼がさらに家の事情を尋ねてきた時、答えられず、風声を漏らして捕まってしまうではないか。もう一度脅かして、門を開けさせ、逃げられるようにしよう。」また前進して言う。「大王、彼はさらに悪いことを言っておりました。」老魔が言う。「彼はまた何を言ったのか?」行者は言う。「彼は言いました、大大王を剥皮し、二大王を骨抜きにし、三大王の筋を抜く、と。あなた方が門を閉じて出て来なければ、彼は変化の術を使い、たちまち蝿に変わって、門の隙間から飛び込み、我々を皆捕らえて連れ出してしまうでしょう。どうすれば良いのでしょうか?」老魔が言う。「兄弟たち、用心せよ。我が洞には、年中蝿などいない。もし蝿が入って来れば、それが孫行者だ。」行者はこっそり笑って言う。「蝿に変わって脅かし、門を開けさせよう。」大聖は脇に身をひそめ、手を伸ばして後頭部から一本の毛を抜き、仙気を吹きかけて「変われ!」と言うと、即座に金色の蝿に変わり、飛んで行って老魔の顔面にまともにぶつかった。その老怪は慌てて「兄弟、大変だ、あの物が門に入って来たぞ。」と言う。驚いた大小の群妖は、それぞれ丫鈀や箒を手に取り、皆前に出て蝿を乱打した。

この大聖はこらえきれず、くくくと声を出して笑った。あいにく彼は笑うべきでなかった。この笑いで元の顔が現れてしまった。すると三番目の老妖魔が飛びかかって来て、一気に引き止めて言う。「兄者、危うく奴に騙されるところだった。」老魔が言う。「賢弟、誰が誰を騙したのか?」三怪が言う。「先ほど返事をしたあの小妖は小鑽風ではなく、まさしく孫行者です。きっと小鑽風に出くわし、何かして打ち殺し、変化して我々を騙しているのです。」行者は慌てて言う。「彼は私を見破った。」すぐに手で触って、老怪に向かって言う。「どうして私が孫行者でありましょうか?私は小鑽風です。大王がお間違えです。」老魔は笑って言う。「兄弟、彼は小鑽風だ。彼は一日に三度、面前で点呼を受ける。私は彼を覚えている。」そして尋ねる。「お前、札を持っているか?」行者は言う。「あります。」衣服をまくり上げて、札を取り出した。老怪はますます確信して言う。「兄弟、彼を冤罪にしてはならぬ。」三怪が言う。「兄者、あなたは彼を見ていなかったのですか?彼は先ほど身をかわして笑った時、私には雷公のような口元が見えました。私が引き止めると、彼はまたこんな姿に変わりました。」と呼びかける。「小どもたち、縄を持って来い。」衆頭目はすぐに縄を取って来た。

三怪は行者を引き倒し、四馬攒蹄に縛り上げた。衣服をまくって見ると、まさしく弼馬温であった。元来、行者には七十二通りの変化の術がある。もし飛禽、走獣、花木、器皿、昆虫の類に変わるならば、体ごと転がって変わることができる。しかし人物に変わる時は、ただ頭と顔だけが変わり、体は変わりきれないのだ。果たして全身黄毛、二つの赤い尻、一本の尾がある。老妖はそれを見て言う。「孫行者の体に、小鑽風の顔だ。間違いない。」と呼びかける。「小どもたち、先ず酒を用意し、三大王に手柄の杯を差し上げよ。孫行者を捕らえたからには、唐僧は必ず我々の口の中の食物となる。」三怪が言う。「まだ酒を飲んではなりません。孫行者は滑りやすく、逃遁の術を持っている。逃げられては困ります。小どもたちに命じて瓶を運び出させ、孫行者を瓶の中に詰めてから、我々は酒を飲みましょう。」

老魔は大笑して言う。「そうだ、そうだ。」即座に三十六の小妖を指図し、中に入って庫房の門を開け、瓶を運び出させた。さて、その瓶の大きさはどれほどか?わずかに二尺四寸の高さである。どうして三十六人で運ばねばならぬのか?その瓶は陰陽二気の宝であり、中に七宝八卦、二十四気が備わっている。三十六人、天罡の数に従って、ようやく運べるのだ。やがて宝瓶を運び出し、三層門の外に置き、清め整え、蓋を開けた。行者を縄から解き、衣服を剥ぎ取り、その瓶の中の仙気に乗せて、飕という音と共に中に吸い込み、蓋をして封を貼った。そして酒を飲みに行って言う。「猿め、今度は我が宝瓶の中に入ったからには、西方への道など二度と考えるな。もし再び仏を拝し経を求めようとするならば、背を向けて揺り籠を回し、もう一度胎に投じ、奪舎するよりほかはない。」見よ、大小の群妖は、一人残らず呵呵と笑い、皆手柄を祝いに行く。それはさておき。

さて、大聖は瓶の中に到着すると、その宝貝によって体を小さく束ねられ、思い切って変化し、その中に蹲っていた。半時ばかりすると、そこはひんやりとして涼しく、ふと声をあげて笑って言うには、「この妖精は外に虚名ありて、内に実事なし。どうして人に告げて、この瓶は人を装(い)れたならば、一時三刻にして、膿血と化すと言うのか? もしこのように涼しいならば、七、八年住んでも無事であろう。」ああ! 大聖はもとよりこの宝貝の根由を知らなかった。もし人を装れたならば、一年語らねば、一年は陰涼である。しかし人の言を聞けば、すなわち火が来て焼くのである。大聖が言い終わらぬうちに、見る見る瓶の中は炎で満ちた。幸いに彼に本事があり、中に坐して、避火の訣を捻り、全く懼れなかった。半時ばかり堪え忍ぶと、四方八方から四十の蛇が這い出して来て噛みついた。行者は手を振るって、掴み寄せ、力の限り一握りに、八十の段に握り潰した。しばらくすると、また三匹の火竜が出て来て、行者を上から下へと巻き絡め、実に堪え難かった。自ら慌てて措くところを知らずに言うには、「他の事は良いが、この三匹の火竜は手強い。もしもう少し経って出られねば、火気が心に攻め入り、どうなることか?」彼は考えて言うには、「我、身を長く伸ばして、突き破ってしまおう。」良い大聖よ、訣を捻り、呪を念じ、叫んで「長(の)べ!」と言えば、即ち丈余りの高さに長じた。その瓶は身にぴったりとくっついて、やはり長く伸びて行った。彼は身を小さく縮めると、瓶もまた小さくなった。行者は心に驚いて言うには、「難し、難し、難し。どうして我が長ずれば彼も長じ、我が小さくなれば彼も小さくなるのか? 如何ともし難い。」言い終わらぬうちに、くるぶしに少し痛みを覚えた。急いで手を伸ばして撫でると、火に焼かれて柔らかくなっていた。自ら焦って言うには、「どうすれば良い? くるぶしが焼けて柔らかくなり、不具者になってしまった。」堪えきれずに涙を落とした。これ正に:

魔に遭い苦に遇いて三蔵を懐い、難に著り危に臨みて聖僧を慮る。

言うには、「師匠よ! 当年、正道に帰依し、観音菩薩の勧善を蒙り、天災を脱せり。我、汝と苦労して諸山を歴、多くの怪を収め殄し、八戒を降し、沙僧を得て、千辛万苦、共に西方に証し、共に正果を成さんと望めり。何ぞ期せん、今日この毒魔に遭い、老孫、誤って此に入り、性命を傾け、汝を半山の中に抛ち棄てて、進む能わざるを。思うに、我が昔日名高かりしが故に、今朝の難有るか。」

正に此の如く凄愴としている時、忽然と思い出して言うには、「菩薩が当年、蛇盤山にて曾て我に三本の救命の毫毛を賜えり。有るか無きか知らねど、且つ我、尋ねて見ん。」即ち手を伸ばして渾身を一撫ですると、脳後に三本の毫毛あり、極めて挺硬なり。忽ち喜んで言うには、「身の上の毛は皆、彼の如く軟熟なるに、只だ此の三本のみ斯くの如く硬き槍の如し。必ずや我が命を救うものならん。」即ち歯を食い縛り、痛みを忍び、毛を抜き、仙気を吹きかけ、叫んで「変(か)われ!」と言う。一本は即ち金剛鑽に変じ、一本は竹片に変じ、一本は綿縄に変じた。篾片の弓を張り、その鑽を牽き、瓶の底に向かって、ひゅうひゅうと一頻りに鑽り、一つの眼孔を穿ち、光亮を通じさせた。喜んで言うには、「造化、造化、ようやく出で行くべし。」やっと変化して身を出すと、その瓶はまた陰涼になった。どうして涼しくなったのか? もとより彼に穿たれて、陰陽の気を泄らしたため、故に遂に涼しくなったのである。

良い大聖よ、毫毛を収め、身を一小さくし、即ち蟭蟟虫と変ず。極めて軽巧、細きこと須髪の如く、長きこと眉毛の如く、孔より鑽り出でて、且つは走らず、直ちに飛んで老魔の頭の上に釘づけになった。その老魔は正に酒を飲んでいたが、猛然と杯を置いて言うには、「三弟、孫行者はこの度化したか?」三魔は笑って言うには、「まだこの時分に及ぶか?」老魔、伝令して瓶を抬げ上げよと命ず。その下の三十六人の小妖、即ち瓶を抬げると、瓶は軽くなること許多。慌てて衆小妖が報じて言うには、「大王、瓶が軽くなりました。」老魔、喝して言うには、「胡说、宝貝は陰陽二気の全功なり、如何にして軽くなり得よう?」内の中に一人の強いて為す小妖あり、瓶を提げて上って来て言うには、「これ、軽からずやと見る?」老魔、蓋を揭げて見る時、只見る内裏は透き通りて亮し、堪えず声を失いて叫んで言うには、「この瓶は空(むな)しき者、控(からっぽ)なり。」大聖、その頭の上に在りて、また堪えず一声「我が児よ、飕(すたこら)と者、走るなり。」衆怪、聞きて言うには、「走了、走了。」即ち伝令して、「門を閉ざせ、門を閉ざせ。」

その行者、身を一振りに、剥ぎ取られた衣服を収め、本相を現し、洞の外に跳び出で、頭を回して罵って言うには、「妖精、無礼をするな。瓶は鑽り破られて、人を装れず、只だ出(い)で来て用を足すに用いるのみ。」喜び楽しみ、騒ぎ騒ぎ、雲頭に踏み、直ちに唐僧の所に転じ去る。その長老は正にそこに土を撮りて香と為し、空を望みて祷祝していた。行者、且く雲頭を停め、彼の祷祝する所を聴く。その長老、掌を合わせて天に向かい言うには:

「祈請す 雲霞の衆位の仙、六丁六甲と諸天。

願わくは保たん 賢徒の孫行者、神通広大にして法無辺ならんことを。」

大聖、此の如き言語を聞き、更に努力し、雲光を収斂し、近づきて叫んで言うには、「師匠、我、来たり。」長老、扶持いて言うには、「悟空、労苦であった。汝、遠く高山を探り、久しく帰らざれば、我、甚だ憂慮す。果たして此の山中に吉凶如何?」行者、笑って言うには、「師匠、才の一往は、一には東土の衆生に縁有り分有るに因り、二には師匠の功徳無量無辺に因り、三にも弟子の法力に虧く。前の項の、粧(よそお)いて鑽風となり、瓶に陷り、及び身を脱するの事を、細に一遍陳べたり。『今、尊師の面を見るを得るは、実に両世の人と為るなり。』」長老、感謝して限り無く言うには、「汝、この度は妖精と賭闘せざりしか?」行者、言うには、「曾(すなわ)ちせず。」長老、言うには、「是くの如くんば、我を保ちて山を過ごす能わざるか?」行者は好勝の人、叫びて言うには、「我、如何にして汝を保ちて山を過ぐるを得ざらんや?」長老、言うには、「未だ彼と勝負を見ず、只だ此の如く含糊に、我、如何ぞ敢えて進まん。」大聖、笑って言うには、「師匠、汝も余りに通変ならず。常言に云う、『単糸は線を為さず、孤掌は鳴り難し。』その魔は三人、小妖は千万、老孫一人をして如何にして彼と賭闘せしめん?」長老、言うには、「寡は衆に敵せず、是れ汝一人にても難し。八戒、沙僧も彼等にも本事有り、皆を行かしめ、汝と協力同心し、山路を掃き浄め、我を保ちて過ごさしめよ。」行者、沉吟して言うには、「師の言、最も当たれり。沙僧に汝を保護せしめ、八戒を我に従わせよ。」その呆子、慌てて言うには、「兄貴、目が無い。我、又粗笨で、大した本事無く、歩けば風を引き、汝に従いて何の益か有らん?」行者、言うには、「兄弟、汝、本事無しと雖も、好(たまた)ま道(い)うは人なり。俗に云う、『放屁、風を添う。』汝も我が胆気を少しく壮(さかん)にせん。」八戒、言うには、「已むを得ず、已むを得ず、願わくは汝、我を携え連れ行け。但だ、急ぎの場所にては、我を弄ぶこと莫れ。」長老、言うには、「八戒、心を用いよ。我と沙僧は此に在り。」

その呆子、神威を抖擻し、行者と共に狂風に縦(したが)い、駕霧に乗じ、高山に跳び上り、即ち洞口に至る。早くもその洞門の閉ざされたるを見る。四顧するに人無し。行者、前に進み、鉄棒を執り、厲声高く叫んで言うには、「妖怪、門を開け! 速やかに出で来て老孫と打ち合え。」その洞里の小妖、報じ入る。老魔、心戦き膽寒じて言うには、「幾年も皆、猴児の狠(はげ)しきを言う。話、虚伝に非ず、果たして真なり。」二の老怪、傍に在りて問いて言うには、「兄、如何に説く?」老魔、言うには、「その行者、早間に小鑽風と変じて混じり入り、我ら能く識別せず、幸いに三賢弟の認め得る所となり、彼を瓶に装れしに、彼、本事を弄し、瓶を鑽り破り、又衣服を摂り去りて走れり。今、外に在りて叫戦す。誰か敢えて彼と頭の一戦を為さん?」更に一人も答うる者無し。又問うに、又答うる者無く、皆、聾を装い唖を推す。老魔、怒りを発して言うには、「我ら、西方の大路に在りて、忝(かたじけな)くも醜名を帯ぶ。今日、孫行者、此の如く藐視す。若し出でて彼と一陣を見ずんば、亦た名頭を低くせん。我が老命を捨てて、彼と三合戦わん。三合に戦い得れば、唐僧は仍(な)お我らが口の内の食ならん。戦い得ずんば、その時に門を閉ざし、彼を過ごさせん。」遂に披掛を取りて結束し、門を開けて前に出づ。

行者と八戒、門傍に在りて観看するに、実に好一つの怪物:

鉄額銅頭、宝盔を戴き、盔の纓、飄舞して甚だ光輝有り。

輝輝として掣電の如く、双睛亮かに、亮亮として鋪霞の如く、両鬢飛ぶ。

勾爪、銀の如く尖にして且つ利、鋸牙、鑿の似く密にして還た斉し。

身に金甲を披き、縫目無く、腰に龍綃を束ね、機を見ること有り。

手に鋼刀を執り、明晃晃として、英雄威武、世に稀なり。

一声の吆喝、雷震の如く、問いて曰く「門を敲く者は誰ぞ」?

大聖は振り返って言った。「お前の孫様、斉天大聖だ。」老魔は笑って言った。「お前は孫行者か。生意気な猿め、俺が構わないのに、なぜここで挑戦状を叩きつけるのだ。」行者は言った。「『風が吹けば波が立ち、潮がなければ水は自ずと静まる』。お前が俺を構わなければ、俺がわざわざお前を探すものか。お前の狐の仲間、犬の連中が一団となって、俺の師匠を食おうと企んだからこそ、ここに来て一暴れしているのだ。」老魔は言った。「お前、そんなに意気揚々と俺の門口で騒ぐとは、まさか殴り合いを望んでいるのか。」行者は言った。「その通りだ。」老魔は言った。「お前、調子に乗るな。俺が妖兵を率いて陣を敷き、旗を振り鼓を打ってお前と戦えば、それは坐して構える虎がお前を虐めるように見えるだろう。俺はお前と一対一で勝負する。助っ人は無用だ。」行者はこれを聞いて叫んだ。「猪八戒、退がっていろ。こやつが老孫をどうするか見ておけ。」あの鈍感者は確かに脇に退いた。老魔は言った。「さあ来い。まず俺の杭となれ。力の限り、その禿頭に三刀斬りつけてやる。それで唐僧を通してやろう。耐えられねば、すぐに唐僧を差し出せ。俺の飯の種にしてやる。」行者は笑って言った。「妖怪、お前の洞に紙筆があるなら出せ。契約を結んでやろう。今日から来年まで斬り続けても、俺は本気にはならんぞ。」

老魔は威風を振るい、丁字足で立ち、両手で刀を掲げ、大聖の頭頂めがけて斬り下ろした。この大聖は頭を上に突き出すと、バキッという音がしただけで、頭の皮は赤くもならなかった。老魔は驚いて言った。「この猿め、なんと硬い頭だ。」大聖は笑って言った。「お前は知るまい。老孫は:

生まれつきの銅の頭、鉄の脳天、天地乾坤にこの世に無し。

斧で斬り、槌で叩いても砕けず、幼き日に老君の炉に入った。

四斗の星官が監造し、二十八宿が手間をかけた。

幾度も水に浸して壊れず、周りには硬い筋が張り巡らされている。

唐僧でさえ堅固かと心配し、先に紫金の箍をかぶせたのだ。」

老魔は言った。「猿め、大口を叩くな。この二刀目を見よ、命は無いと思え。」行者は言った。「どうせ同じように斬るだけだ。」老魔は言った。「猿め、お前はこの刀を知らぬ:

金火の炉で造られ、神功で百回練り鍛えた。

刃は三略に従い、剛強は六韜に準じる。

蠅の尾のごとく、白い蟒の腰のごとし。

山に入れば雲は蕩蕩、海に下れば浪は滔滔。

研ぐこと数え切れず、煎熬すること幾百回。

深山の古洞に置かれ、出陣すれば功績あり。

お前の坊主の天霊蓋に当たれば、一振りで瓢箪二つとなる。」

大聖は笑って言った。「この妖精、目が利かぬ。老孫を瓢箪の頭だと思っているのか。まあいい、誤って斬るなら斬らせておけ。もう一刀、どうなるか見せてやろう。」

老魔は再び刀を挙げて斬りかかると、大聖は頭を迎え、バシンと真っ二つに割れた。大聖はその場で転がり、二つの体になった。その妖は見て慌て、手にした鋼刀を押さえた。猪八戒が遠くから見て笑って言った。「老魔がうまく二刀斬ったぞ。これで四人になったではないか。」老魔は行者を指さして言った。「お前が分身の術を使えると聞いていたが、それを俺の前で使うとはどういうことだ。」大聖は言った。「分身の術とは何だ。」老魔は言った。「なぜ先に一刀斬った時は動かず、今一刀斬ったら二人になったのだ。」大聖は笑って言った。「妖怪、怖がるな。一万刀斬れば、二万人にして返してやる。」老魔は言った。「この猿め、お前は分身はできても、収身はできまい。もし腕前があって一つに戻れるなら、一棍食らわせてみよ。」大聖は言った。「嘘は言うな。お前は三刀斬ると言いながら、たった二刀しか斬っていない。俺に一棍打たせろと言うなら、半棍でも打てば孫の姓は名乗らぬ。」老魔は言った。「そうだ、そうだ。」

さて大聖は、身を寄せて転がり、元の一つの体に戻り、棒を抜いて頭を打った。老魔は刀を挙げて受け止め、言った。「無礼な猿め、何という弔いの棒だ。門に来て人を打つとは。」大聖は叫んで言った。「この棒のことを尋ねるなら、天上地下にその名は響いている。」老魔は言った。「その名がどうした。」彼は言った:

「棒は九転の鐡を練り鍛え、老君自ら炉で焼いた。

禹王が求めて神珍と名付け、四海八河で定めを験した。

中には星斗が暗く配され、両端は黄金の板で包まれた。

文様が密に敷きつめられ鬼神も驚き、上には龍紋と鳳篆が刻まれた。

名は霊陽棒一条、深く海蔵に隠され人に見えず。

形を成して変化し飛翔し、飄飄と五色の霞光が現れる。

老孫が道を得て山に持ち帰り、無窮の変化を多く経験した。

時には大きく甕の太さに、或いは小さく鉄線の如く。

太ければ南岳、細ければ針、長短は我が心のままに変わる。

軽く動かせば彩雲が生じ、煌めき飛翔すれば電光の如し。

悠悠と冷気が人を寒からしめ、条条の殺霧が空中に現れる。

竜を降し虎を伏せて常に身に従い、天涯海角を全て遊び尽くした。

かつてこの棍で天宮を騒がせ、威風は蟠桃の宴を打ち散らした。

天王と賭闘しても勝ち得ず、哪吒と対敵しても戦い切れず。

棍で諸神を打ち、逃げ隠れもならず、天兵十万は皆逃げ散った。

雷霆の衆将は霽霄を護り、身を飛ばして通明殿に打ち上った。

掌朝の天使は皆忙しく、護駕の仙卿は皆乱れた。

棒を挙げて北斗宮をひっくり返し、首を回して南極院を震わせた。

金闕の天皇が棍の凶を見て、特に如来を招いて我と会わせた。

兵家の勝敗は自然のまま、困苦や災厄は弁じ難し。

きっちりと五百年を耐え忍び、南海の菩薩の勧めに頼った。

大唐に一人の出家僧がいて、天に向かって大誓願を発した。

枉死城で鬼魂を度し、霊山会上で経巻を求めた。

西方の道中には妖魔がいて、行動は非常に不便だった。

既に鉄棒が世に並び無いと知り、我に頼んで道中の伴侶とした。

邪魔が当たれば幽冥に赴き、肉は紅塵と化し骨は面と化す。

所々の妖精は棒の下に亡び、数え上げれば万や千、数知れず。

上方では斗牛宮を壊し、下方では森羅殿を損なった。

天将はかつて九曜を追い、地府では催命の判官を打ち傷めた。

半空に投げ出せば山川を振るい、太歳の華剣に勝る。

全てこの棍に頼って唐僧を護り、天下の妖魔を全て打ち尽くした。」

その魔はこれを聞き、戦慄しながら命を投げ出して刀を挙げて斬りかかった。猿王は笑いながら鉄棒を振るって迎え撃った。両者は先に洞の前で渡り合い、その後跳び上がって半空で戦った。この戦いは見事であった:

天河の底に定まる神珍棒、棒の名は如意、世に高し。腕前を誇れば魔頭は怒り、大捍刀を振るえば法力は豪なり。門外で争えばなお近づけるが、空中で賭闘すればどうして許されよう。一つは心のままに面目を変え、一つは立ちどころに身の丈を伸ばす。殺気は満天の雲気を重くし、野辺一面に霧が漂う。その一つは幾度も三蔵を食おうと意図し、この一つは広く法力をもって唐朝を護る。全ては仏祖が経典を伝えたる故、邪正は分明、恨み苦しみが交わる。

その老魔と大聖は二十余合戦ったが、勝敗はつかなかった。

三蔵法師はなおも堅固さを心配し、予め紫金の箍(かん)を加えておいたのである。

老魔が言うには、「猿め、大言を吐くな。我がこの二の太刀を見よ。必ずお前を生かしてはおかぬ。」行者が言うには、「どうせ同じように斬るだけのことだ。」老魔が言うには、「猿め、お前はこの刀を知らぬ。

金火炉の中にて打ち鍛え、神功百回を経て煉り熬(に)る。

刃は《三略》に依って備え、剛強は《六韜》に従う。

蠅の尾の如く、白き蟒(うわばみ)の腰の如し。

山に入れば雲気は蕩漾(とうよう)し、海に下れば波濤は滔々(とうとう)たり。

幾度も琢磨し、幾百度も煎熬した。

深山古洞に置き、戦場に出でて功あり。

此の和尚の天霊蓋に斬りかかれば、一振りにて二つの瓢(ひさご)と削るべし。」

大聖笑って言うには、「この妖精は目が利かぬ。我が老孫を瓢の頭と思うとは。よし、誤って斬らせるのもまた良し。もう一刀斬らせて、如何なるか見せよ。」

かの老魔は刀を挙げてまた斬りかかる。大聖は頭を差し出し迎え撃つ。「ピン」と一声、真っ二つに劈(つんざ)かれた。大聖はその場で転がり、二つの体となった。かの妖怪はこれを見て慌て、鋼刀を押さえ下ろした。猪八戒は遠くから見て笑いながら言うには、「老魔は二刀斬りが上手いことよ。これで四人になったではないか。」老魔は行者を指さして言うには、「お前は分身の法を使えると聞くが、どうしてこの法を我が前に持ち出すのか。」大聖が言うには、「何が分身の法だ。」老魔が言うには、「なぜ先に斬った時は動かず、今斬ったら二人になるのか。」大聖笑って言うには、「妖怪よ、決して恐れるな。一万刀斬ろうとも、二万人をお前に返してやろう。」老魔が言うには、「猿め、お前は分身するだけで、身を収めることは出来ぬ。もし一つの身に収める腕前があるなら、我に一棍打ち込め。」大聖が言うには、「嘘は言うな。お前は三刀斬ると言いながら、二刀しか斬らなかった。我に一棍打たせよ。もし半棍余計に打ったら、我は孫を名乗らぬ。」老魔が言うには、「その通り、その通り。」

さあ大聖、身を寄せ集めて転がり、一つの身となり、棒を抜き出して頭をめがけて打ちかかった。かの老魔は刀を挙げて受け止め、「この放蕩猿め、無礼だ。これは何の哭喪棒(こくそうぼう)か、よくも門前に来て人を打つとは。」と言う。大聖は喝して言うには、「我がこの棒を問うならば、天の上地の下にも名聲あり。」老魔が言うには、「どうして名聲があると見るのか。」彼が言うには、

「この棒は九転の鑌鉄を練りて成し、老君の手ずから炉にて鍛えたり。

禹王が求め来たりて神珍と名づけ、四海八河を以て定め測る。

中には星斗が暗に鋪陳(ほちん)し、両頭は黄金の片にて包まれり。

文様は密に布して鬼神も驚き、上には龍紋と鳳篆とを刻む。

名を霊陽棒一条と謂い、深く海蔵に蔵して人見難し。

形を成して後変化して飛騰せんと欲し、飄飄(ひょうひょう)と五色の霞光現る。

老孫が道を得てこれを山に取り帰し、無窮の変化経験多し。

時には大甕の如く太く、時には小さく鉄線の如し。

太きは南岳に似て細きは針の如く、長短は我が心の意に随いて変ず。

軽く挙ぐれば彩雲生じ、亮亮(りょうりょう)と飛騰して電光の如し。

阵阵の冷気は人を逼(せ)めて寒く、条条の殺霧は空の中に現る。

龍を降し虎を伏するは時に随いて身に帯び、天涯海角を遊び尽くせり。

曾て此の棍を用いて大いに天宮を鬧(さわ)がし、威風は蟠桃の宴を打ち散らせり。

天王は賭闘して勝ち得ず、哪吒も対敵して戦い難し。

棍の来たれば衆神は隠れ処無く、十万の天兵は逃げ散らん。

雷霆の衆将は霊霄殿を守護すれど、我飛身して通明殿に打ち上らん。

掌朝の天使は忙乱し、護駕の仙卿は悉く攪乱せらる。

棒を挙げて北斗宮を翻し、頭を回らして南極院を震い開く。

金闕の天皇は棍の猛きを見て、特に如来を請いて我に会わしめたり。

兵家の勝敗は自然の此くの如く、困苦災危は辨(わか)ち難し。

丸々五百年を挨(くぐ)り、南海の菩薩の勧めに虧(か)けり。

大唐に一人の出家僧あり、天に対して大誓願を発せり。

枉死城にて鬼魂を超度し、霊山の会に至りて経巻を求め取らん。

西方の一路に妖魔あり、行動頗る便ならず。

已にこの鉄棒の世に双び無きを知り、我を求めて路上の伴となす。

邪魔に逢えば即ち陰間に行き、肉は土と化し骨は面と化す。

処々の妖精は棒の下に命を喪い、論万成千にも数え尽くせず。

上には斗牛宮を撃ち壊し、下には森羅殿を圧し壊せり。

天将は曾て九曜を追い、地府は催命の判官を打ち傷せり。

半空に投げ下ろして山川を動かし、太歳の新華剣に勝れたり。

全く此の棒に頼りて三蔵を保護し、天下の妖魔を打ち尽くせり。」

かの魔頭はこれを聞き、戦戦兢兢(せんせんきょうきょう)として命を賭し、刀を挙げて斬りかかる。猴王は笑吟吟(しょうぎんぎん)として鉄棒を振るい迎え撃つ。二人は先ず洞前で対抗し、やがて跳び上がり、共に半空にて殺し合う。この一戦、見事なり。

天河の底に定まる神珍の棒、棒の名は如意、世に最も高し。手段を誇りて魔頭怒る、大捍刀(だいかんとう)高く挙げて法力豪强なり。門外の争いは尚近づくべし、空中の賭闘はどうして相許すべけんや。一つは心に随いて面目を変じ、一つは地に立ちて身腰を長ず。殺し合いて満天の雲気濃く重く、野辺に遍く霧気飄揺す。その一つは幾度も心を決して三蔵を食べんと欲し、この一つは大いに法力を展べて唐朝を保つ。皆、仏祖が経典を伝え給うに因り、邪正分明、恨み苦しみ相織りなす。

かの老魔は大聖と二十余合を戦い、勝負分かたず。

そもそも八戒は下にて彼の二人が戦いの佳境に入るを見て、耐えかねて釘鈀(ていは)を抜き風に乗り、跳び上がりて妖魔の顔面をめがけて築(きず)く。かの魔は慌てたり。八戒が虎頭の気性にて、出し抜けに人を驚かすことを知らず。ただ嘴長く耳大い、手強く鈀凶なるを見て、陣に敗れ、刀を棄て、頭を回らして走り去る。大聖は喝して言う、「追え、追え。」この呆子は威風に乗り、釘鈀を挙げ、即ち忙しく怪を追い下す。老魔は彼の追い近づくを見て、坂の前に立ち止まり、風頭を迎え、一振りして原身を現し、大口を開け、即ち八戒を呑まんとす。八戒は怖れ、急ぎ身を引き草の中に一もぐり、荊の針棘をも顧みず、頭を刮(か)き破る痛みをも省みず、戦戦兢兢として草の中にて梆声(ほうせい)を聴く。後に行者到り、かの怪もまた口を開けて呑まんとす。即ちその機にはまり、行者は鉄棒を収め、迎え上り、老魔に一口に呑まれたり。呆子は草の中にて嚇(おど)ろき、嚢嚢咄咄(のうのうとつとつ)として怨み言う、「この弼馬温(ひつばおん)、進退を知らず。かの怪がお前を食いに来たのに、どうして逃げず、逆に迎えに行くのか!この一口、腹の中に呑まれ、今日はまだ和尚、明日は大便(おおくそ)となるぞ。」かの魔は勝ちを得て去り、この呆子はやっと草より出で、旧路に滑り戻る。

さて、三蔵法師はあの山の麓で沙悟浄と共に思い悩みながら待っていたところ、猪八戒が息を切らして走ってくるのが見えた。三蔵法師は大いに驚いて言った。「八戒、どうしてそんなに無様な姿をしているのだ。悟空はどうした、見えないではないか。」呆れた奴(八戒)は泣きながら言った。「兄貴は、妖怪に一口で飲み込まれてしまいました。」三蔵法師はこの言葉を聞いて、驚きのあまり地面に倒れ、しばらくの間、地団駄を踏んで胸を打ちながら言った。「弟子よ、お前は妖怪を退治できると言い、我を連れて西天に行き仏に会わせてくれると言ったのに、まさか今日、この怪物の手で死んでしまうとは。苦しいかな、苦しいかな!我が弟子と皆の功績も、今や全て土と化してしまった。」その師匠は非常に苦しんだ。あの呆れた奴(八戒)を見よ、彼は師匠をなだめにも来ず、こう言った。「沙和尚、お前は荷物を持って来い。我々二人で分けよう。」沙悟浄が言った。「二哥よ、何を分けるのだ。」八戒が言った。「分ければ、それぞれ散り散りになろう。お前は流沙河に戻り、また人を食らうが良い。我は高老荘に帰り、我が妻に会いに行く。白馬を売り、師匠のために棺桶を買って、最期を看取ろう。」長老はこの言葉を聞いて腹を立て、天に向かって大声で泣き叫んだ。それはさておき。

さて、あの老魔(大妖怪)は行者を呑み込んだので、思い通りになったと思い、真っ直ぐに自分の洞窟に戻った。多くの小妖たちが出迎え、戦いの手柄を尋ねた。老魔は言った。「一人捕まえて来たぞ。」二番目の魔が喜んで言った。「兄貴、捕まえたのは誰だ?」老魔が言う。「孫行者だ。」二番目の魔が言う。「どこに捕まえた?」老魔が言う。「我が一口で腹の中に呑み込んでしまった。」三番目の魔が大いに驚いて言った。「兄さんよ、私はお前に言っておかなかったか、孫行者は食べてはいけないと。」その大聖(行者)が腹の中で言った。「とても食べられるし、腹も持つ、決して飢えることはない。」慌てた小妖が言った。「大王様、大変です。孫行者があなたのお腹の中で話をしています。」老魔が言う。「話をするのを怖がるものか。食えるだけの腕はあるが、始末できぬわけがあるまい。お前たち、早く塩湯を沸かして来い。我がそれを腹に流し込み、奴を吐き出させて、ゆっくりと煮て酒の肴にする。」小妖はすぐに半盆の塩湯を用意した。老怪はそれを一気に飲み干し、口を開けて、力いっぱい吐こうとした。しかし大聖は腹の中で根を生やしたように、微動だにしない。さらに喉を塞いで外に吐き出そうとしたが、吐き過ぎて目がくらみ、胆のうも破れてしまった。行者はますます動かない。老魔は息を切らして叫んだ。「孫行者、出て来ないのか?」行者が言う。「まだ早い、ちょうど出たくないのだ!」老魔が言う。「どうして出て来ないのだ?」行者が言う。「お前という妖精は全く融通が利かない。我は坊主になってからというもの、非常に質素に暮らしてきた。今は秋冷の頃だが、まだ一枚の単衣を着ている。この腹の中は暖かく、風も通さない。だから冬を越してから出て行こうと思う。」

多くの小妖がこれを聞いて言った。「大王様、孫行者はあなたの腹の中で冬を越そうとしています。」老魔が言う。「奴が冬を越そうと言うなら、我は坐禅を組み、運搬の術を使い、一冬食べずに過ごして、あの弼馬温を飢え死にさせてやろう。」大聖が言う。「我が子よ、お前は事情を知らぬ。老孫は三蔵法師を護って経を取りに行く途中、広州を通った時に、折り畳み鍋を持って来たのだ。中に入って雑炊を煮て食らおう。お前の中の肝、腸、胃、肺を細かく味わい、清明の節句までの路銀には十分足りるだろう。」二番目の魔が大いに驚いて言った。「兄さんよ、この猿はやりかねない。」三番目の魔が言う。「兄さんよ、雑炊を食われるのも困るが、どこに鍋を据えるのか?」行者が言う。「三叉骨の上に鍋を据えれば良い。」三番目の魔が言う。「大変だ。もし鍋を据え、火を焚いて煙が立ったら、鼻の穴に入って、くしゃみが出るではないか?」行者は笑って言った。「問題ない。老孫が金箍棒を頭頂に突き刺して、穴を開けてやろう。一つには天窓の代わり、二つには煙突の代わりだ。」

老魔はこれを聞いて、怖くないとは言いながらも、心は驚いた。それでも勇気を振り絞って叫んだ。「兄弟たち、怖がるな。我の薬酒を持って来い。我がそれを数杯飲んで、猿を薬で殺してしまおう。」行者は心の中で笑った。「老孫は五百年前に天宮を大騒ぎした時、太上老君の丹薬、玉皇の酒、王母の桃、鳳の髄や竜の肝までも食べた。どんな物を食べたことがないというのか。何の薬酒だ、よくも我を薬で殺そうなどと。」小妖はすぐに薬酒を二壺漉し、杯にたっぷりと注いで、老魔に差し出した。老魔がそれを手に取ると、大聖は腹の中ですでに酒の香りを嗅ぎつけ、言った。「奴に飲ませるな。」良い大聖よ、頭をひねって、喇叭の形に変え、奴の喉の下に口を広げた。あの怪物がごくんと飲み込むと、行者がごくんと受け取って飲んでしまった。二杯目を飲み込むと、また行者がごくんと受け取って飲んだ。続けて七八杯、皆行者が受け取って飲んでしまった。老魔は杯を置いて言った。「もう飲まない。この酒は普段二杯飲めば腹の中が火のようになるのに、今七八杯飲んだが、顔色すら赤くならぬ。」

実はこの大聖は酒をあまり飲めないのだが、七八杯を受け取って飲み、腹の中で酒の勢いで暴れ始めた。やめどもなく体を支え、四つん這いになり、足を蹴り上げ、肝臓を掴んでぶら下がり、逆立ちし、宙返りをし、めちゃくちゃに舞い狂った。あの怪物は耐え難い痛みに襲われ、地面に倒れた。

はたしてその生死は如何に、それは次の回の解明を待たねばならない。